沖縄「戦争マラリア」

著者・編者大矢英代/著

―強制疎開死3600人の真相に迫る
日本で唯一の地上戦が起きた沖縄。しかし戦闘のなかった八重山諸島で3600人もの住民が死んだ。なぜ? 映画『沖縄スパイ戦史』の共同監督が沖縄戦の最暗部に迫ったルポ。
ジャーナリストとしての誠実さ、気概が伝わる一冊、そして、ジャーナリズムの社会的責務を考え合う一冊でもある。
推薦:金平茂紀、望月衣塑子、ジャン・ユンカーマン。
「調べてみると、それは、波照間の住民たちがマラリアの蔓延するジャングル地帯へと移住させられたことが原因だった。しかも、日本軍の命令によって、強制的に。
軍命による強制移住、それが引き起こしたマラリアによる病死。これが沖縄で「もうひとつの沖縄戦」と呼ばれてきた「戦争マラリア」だ」(本書「まえがき」より)

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商品情報

発売日
サイズ・ページ数 四六判/224頁
ISBN 978-4-87154-166-4

目次

はじめに

1章 住民3600人の死の真相を追って
(2009年夏~2010年夏 石垣島)

65年前の今日
地上戦なき島々の沖縄戦・戦争マラリアとの出合い
軍国少年 潮平正道さん
沖縄戦までのカウントダウン
移住開始
死者たちが眠る山
日本軍はマラリアの危険性を知っていた
政治的解決
慰謝事業で手に入れたものとは
戦争マラリアは本当に解決したのだろうか

2章 島で暮らしながら撮る
(2010年冬~2011年夏 波照間島)

さよなら、東京
「今日から家族として、苦楽を共にしましょう」
初めてのサトウキビ刈り
ベスマムニ
戦争マラリアが孝子おばあから奪ったもの
波照間の強制移住
「あんたには分からないよ」
謎の男・山下虎雄
慰霊の日
さよなら、波照間

3章 戦争マラリアはまだ終わっていない
(2017~2018年 東京、米国、波照間島、石垣島)

ドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』制作へ
沖縄戦参戦兵のロバートさん
浩おじいの死
山下の影を追う
最後の挺身隊員と死ぬための訓練
「波照間島民は犠牲になっても構わない」
監視下に置かれた住民たち
山下の肉声
三線とおばあの涙

最終章 なぜ今、戦争マラリアなのか
(2018年 与那国島、石垣島、米国)

日本最西端の自衛隊基地・与那国島
自衛隊誘致したけれど…
島民に秘密で弾薬庫配置
「自衛隊と心中する覚悟を」
在沖米軍の意味
米国による日本の再軍備化
「また戦争をするんかやぁ」


あとがき

著者略歴

大矢 英代(おおや はなよ)

1987年、千葉県出身。
琉球朝日放送記者を経て、フリージャーナリスト、映画監督。
ドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』(2018年・三上智恵との共同監督)で文化庁映画賞優秀賞、第92回キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門1位など多数受賞。ドキュメンタリー番組『テロリストは僕だった~沖縄・基地建設反対に立ち上がった元米兵たち?』(琉球朝日放送、2016年)でテレビ朝日プログレス賞最優秀賞。
2018年フルブライト 奨学金制度で渡米。以降、米国を拠点に軍隊・国家の構造的暴力をテーマに取材を続ける。
早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース修士課程修了(2012年)。現在、カリフォルニア大学バークレー校ならびに早稲田大学ジャーナリズム研究所客員研究員。
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