重大な岐路に立つ日本

著者・編者世界平和アピール七人委員会[編]

池内 了   (宇宙物理学、総合研究大学院大学名誉教授)
池辺晋一郎  (作曲家)
大石 芳野  (写真家)
小沼 通二  (物理学、慶應義塾大学名誉教授)
高原 孝生  (国際政治、明治学院大学国際平和研究所長)
髙村 薫   (作家)
土山 秀夫  (医学、長崎大学名誉教授)
武者小路公秀 (国際政治、大阪国際平和センター会長) [著]

―今、私たちは何をしたらいいのか!
秘密保護法、集団的自衛権、憲法改悪、
原発再稼働、貧困の深化拡大などなど…。
この国はどこへ行こうとしているのか?
今、私たちは何をしたらいいのか?
湯川秀樹、平塚らいてう、下中弥三郎氏らで結成された
世界平和アピール七人委員会が、日本の今を見据え、何が問題なのか、
何をしたらいいのかを直言する。
最近の同委員会のアピール5点も収録。
著者は、髙村薫(直木賞作家)、池辺晋一郎(作曲家)、 池内了(宇宙物理学)ほか。筆者それぞれが重大な危機感を持って、
自らの社会的責務から誠実に読者に訴える。

出版社からのお知らせ

カタログPDF

世界平和アピール七人委員会の紹介(2015年2月15日現在)

●発足 1955年(昭和30年)11月11日

●これまでの委員(現委員も含む):31人
現委員
武者小路公秀(国際政治、大阪国際平和センター会長)
土山 秀夫 (医学、長崎大学名誉教授)
大石 芳野 (写真家)
小沼 通二 (物理学、慶應義塾大学名誉教授)
池内了 (宇宙物理学、総合研究大学院大学名誉教授)
池辺晋一郎 (作曲家)
髙村薫 (作家)

初代委員(就任時の肩書)
下中弥三郎 (世界連邦建設同盟理事長)
植村環 (日本YWCA会長)
茅誠司 (日本学術会議会長、東京大学教授)
上代 たの (日本婦人平和協会会長)
平塚らいてう(日本婦人団体連合会会長)
前田 多門 (ユネスコ日本委員会理事長)
湯川 秀樹 (京都大学基礎物理学研究所長)

追加委員(就任順 現委員を除く)
川端康成、朝永振一郎、大河内一男、田畑茂二郎、井上靖、伏見康治、桑原武夫、
関谷綾子、隅谷三喜男、内山尚三、久保亮五、平山郁夫、永井道雄、井上ひさし、
池田香代子、小柴昌俊、辻井喬


●七人委員会の立場と考え方

人道主義と平和主義に立つ不偏不党の立場
一人一人が安全に安心して生きていける世界の実現
日本国憲法の平和主義に立脚
世界中の核兵器の廃絶
国際間の紛争の武力によらない解決
持続可能なエネルギー源への移行

●これまでのアピール(複数の内容を含むアピールがあり、総数と内訳合計は一致していない)

国内外にアピールを114発表、その内容は次のように分類できる。
世界連邦、国連改革・強化など 8
日本国憲法、平和主義、紛争の非軍事的解決など 38
核兵器、原子力 72


●最近のアピール

2014年
12月5日 日本の岐路と日本国憲法の重み
7月18日 原発再稼働の条件は整っていない
6月12日 民主主義を破壊する閣議決定を行わせないために、国民は発言を
1月17日 辺野古に新しい軍事基地を造ってはならない

2013年
11月25日 「特定秘密保護法案」の廃案を求める
6月28日 日本国憲法の基本的理念を否定する改定の動きに反対する

2012年
9月11日 原発ゼロを決めて、安心・安全な世界を目指す以外の道はない
6月19日 原子力基本法の基本方針に「安全保障に資する」と加える改正案の撤回を求める
4月10日 イスラエルとイランの市民と政府に呼びかける

2011年
10月25日 名護市辺野古への米軍普天間飛行場の移設計画は直ちに取りやめなければならない
7月11日 原発に未来はない:原発のない世界を考え、IAEAの役割強化を訴える

2010年
8月5日 潘基文国連事務総長の来日に際しての激励メッセージ
4月8日 核兵器禁止条約の採択に向けた早期交渉開始を

2009年
11月12日 オバマ大統領の来日に際し、米国が生物多様性条約を批准するよう求める要請
11月12日 オバマ大統領の来日に際し、戦争なき世界に向けて核兵器廃絶のための具体的行動を呼びかけるアピール

●講演会
2014年 重大な岐路に立つ日本 (東京都)
2013年 核抑止論と世界 (長崎市)
2012年 福島の人びとと共に (福島県南相馬市)
2011年 篠山で考える日本と世界 (兵庫県篠山市)
2010年 武力によらない平和を (東京都)
2009年 核といのちを考える (名古屋市)
2008年 洞爺湖サミット後の日本と世界 (札幌市・旭川市)
2007年 世界の農業と日本の農業 (新潟県十日町市)
2006年 日本はどこに行くのか 今これだけは言っておきたい (東京都)
2005年 平和に生きる世界のために (東京都)
2004年 反核平和への道 (長崎市)

●七人委員会のホームページ http://worldpeace7.jp

 

商品情報

発売日
サイズ・ページ数 四六判/184頁
ISBN 978-487154-134-3

目次

はじめに

世界平和アピール七人委員会の紹介
第Ⅰ部●問題提起

今を生きる者として
―― この時代をどう見て、何をしたらいいのか

主張する音楽
――音楽家の僕がなぜ政治にかかわるのか ……池辺 晋一郎

政治とかかわっているということ
日本国憲法前文
みんな違っているから面白い
レバノンの歌「平和の太陽」
レバノンではやった「ヒロシマ」の歌
原発の問題
自分を突き動かしているものは
混声合唱組曲「悪魔の飽食」
「テキストがあるから具体的」なのではなく

言葉の伝わり方
――言葉こそ重大な岐路に立っている ……髙村 薫

言葉に変化をもたらしている要因
言葉は常に伝わるとは限らない
言葉がどう伝わったのかが問題
「言葉は伝わるはずだ」という楽観と慢心
言葉の劣化とどう向き合い、どう克服するか

〈コラム〉
◇言葉の余白


戦争への科学者の動員が始まっている!
――軍学共同の動きと日本の未来 ……池内 了

はじめに
戦争への科学者の協力の歴史
日本ではどうであったのか
2006年の防衛省技術研究本部組織替え
2013年から急増した「技術交流」「軍学共同」
2013年「防衛計画大綱」が背景に
大学の自治、学問の自由
革新的研究開発推進プログラム
科学研究はどうなるのか?

第Ⅱ部●パネルディスカッション
重大な岐路に立つ日本―― 日本の進むべき道を考える
池内 了/池辺晋一郎/大石芳野/小沼通二/
髙村 薫/土山秀夫/武者小路公秀/高原孝生

9条は「永世中立国」の宣言
思ったことを言うこと
言葉が伝わらない、ということ
学生を変えたもの
求められる経済学の協力
日本国憲法と自民党改憲草案
ペンは剣よりも強し
ベネズエラのエルシステマ
ハンマーを持つ人にはすべてがクギに見える
「デュアルユース」を意識して見る
秘密保護法の問題点
政治家は騙しているというよりわかっていない…
私たちは私たちのやり方で…
ウソの宣伝に騙されるな
日本は平和世界の先頭に立て
真理はあなたたちを自由にする

〈コラム〉
◇私情と国益/土山 秀夫
◇大西洋のアフリカ沖の「日本国憲法第9条の碑」を訪問して/武者小路公秀
◇重大な岐路に立つ沖縄/大石 芳野

資料編●世界平和アピール七人委員会の最近のアピール
■日本の岐路と日本国憲法の重み 2014年12月5日
■原発再稼働の条件は整っていない 2014年7月18日
■民主主義を破壊する閣議決定を行わせないために、国民は発言を 2014年6月12日
■辺野古に新しい軍事基地を造ってはならない 2014年1月17日
■「特定秘密保護法案」の廃案を求める 2013年11月25日


あとがき

著者略歴

武者小路 公秀(むしゃこうじ きんひで)

専門は国際政治学。1929年ベルギー生まれ。IMADR(反差別国際運動)副会長、大阪アジア太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)会長など。元国連大学プログラム担当副学長、前大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長、前大阪国際平和センター(ピース大阪)会長。著書に、『人間安全保障序説:グローバル・ファシズムに抗して』(国際書院)、『転換期の国際政治』(岩波新書)、『日本の形:外交・内政・文明戦略』(編著:藤原書店)など。


土山 秀夫(つちやま ひでお)

専門は病理学。1925年長崎市生まれ。長崎大学名誉教授、長崎平和宣言文起草委員、核兵器廃絶ナガサキ市民会議代表、「核兵器廃絶―地球市民長崎集会」実行委員会顧問、長崎県九条の会共同代表ほか。元長崎大学学長。核兵器廃絶を中心とした安全保障や憲法問題についても精力的に取り組み、被爆地の立場から発言を続けている。論文多数、「NPT体制崩壊の危機」、「核兵器廃絶への期待と指針」、「非核兵器地帯と被爆地の視点」、近著に『核廃絶へのメッセージ』、『核兵器廃絶への道』ほか。


大石 芳野(おおいし よしの)

写真家。1943年東京生まれ。フリーランスとして40年余りドキュメンタリー写真を撮り続けている。日本大学客員教授。写真集に『夜と霧は今』、『沖縄に活きる』、『HIROSHIMA半世紀の肖像』、『カンボジア 苦界転生』、『ベトナム 凜と』、『アフガニスタン 戦禍を生きぬく』、『コソボ 破壊の果てに』、『子ども 戦世のなかで』、『〈不発弾〉と生きる~祈りを織るラオス』、『それでも笑みを』、『福島FUKUSHIMA土と生きる』ほか。受賞:土門拳賞、紫綬褒章、JCJ賞(日本ジャーナリスト会議)ほか。


小沼 通二(こぬま みちじ)

専門は物理学(素粒子理論)。1931年東京生まれ。現在、神奈川歯科大学理事、慶應義塾大学名誉教授など。日本学術会議原子核特別委員会委員長、日本物理学会会長、アジア太平洋物理学会連合会長、ノーベル平和賞を受賞したパグウォッシュ会議の評議員などを務めた。ハンガリー科学アカデミー名誉会員、素粒子メダル功労賞。J.ロートブラットほか著『核兵器のない世界へ』を共同して監訳(かもがわ出版)、『エネルギーを考える』共著、『アジアの「核」と私たち』共著ほか。


池内 了(いけうち さとる)

専門は宇宙論・宇宙物理学、科学と社会。1944年姫路市生まれ。名古屋大学名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授。京都大学、北海道大学、東京大学、国立天文台、大阪大学、名古屋大学、早稲田大学、総合研究大学院大学を歴任。現在は科学と社会の関わりについて教育・評論活動に従事し、「新しい博物学」を提唱。著書に、『疑似科学入門』、『現代科学の歩き方』、『禁断の科学』、『科学者心得帳』、『科学の限界』などがある。最近、ライフワークである『科学・技術と現代社会』を上梓した。


池辺 晋一郎(いけべ しんいちろう)

作曲家。1943年水戸市生まれ。東京音楽大学客員教授、横浜みなとみらいホール、東京オペラシティなどの館長、監督。交響曲9曲、オペラ「鹿鳴館」「高野聖」ほか。映画「影武者」「楢山節考」「うなぎ」、テレビ「未来少年コナン」「独眼竜政宗」「元禄繚乱」ほか。演劇音楽約470本。1966年日本音楽コンクール1位。音楽之友社賞、ザルツブルクTVオペラ祭優秀賞、尾高賞2度、イタリア放送協会賞3度、国際エミー賞、日本アカデミー賞音楽賞9度、放送文化賞、紫綬褒章ほか。著書に『空を見てますか1~5』『モーツァルトの音符たち』ほか。


髙村 薫(たかむら かおる)

作家。1953年大阪市生まれ。ミステリー小説でデビューした後に純文学に転向し、随筆、社会時評も手がける。ミステリーの主な作品は『リヴィエラを撃て』(93年第49回日本推理作家協会賞)、『照柿』(94年)、『マークスの山』(93年第109回直木賞)、『レディ・ジョーカー』(97年毎日出版文化賞)。純文学の主な作品は『晴子情歌』(05年)、『新リア王』(06年第4回親鸞賞)、『太陽を曳く馬』(10年第61回読売文学賞)、『冷血』(12年)。ほかに雑文集『半眼訥訥』、『作家的時評集』、『閑人生生』、『続・閑人生生』など。


(以上、世界平和アピール七人委員会委員、就任順)


高原 孝生(たかはら たかお)

専攻は国際政治学・平和研究。1954年神戸市生まれ。明治学院大学国際学部教授、同大学平和研究所長。コーネル大学平和研究プログラム、メリーランド大学一般軍縮プログラム等、客員研究員。論文に「戦後初期における核軍縮交渉の挫折」、「沖縄返還と日本の"非核政策"」、「冷戦期の思考枠組みからの脱却:核兵器禁止条約と非核兵器地帯設置の推進(英文)」等。現在、Peace History Society国際評議員、NPO法人ピースデポ副代表、第五福竜丸平和協会評議員、日本平和学会理事。
価格 ¥1,540
(本体価格:¥1400)
【送料無料】
在庫状況:在庫あり。