原発で重大事故 その時、どのように命を守るか?

著者・編者児玉一八

 気候変動が差し迫った課題となっていることや、ロシアのウクライナ侵略などに起因する電力調達価格の高騰で電気料金が値上げされることなどをふまえて、原子力発電の利用を促進すべきだという主張が強まっています。
 私は、福島第一原発事故を起こした原発を引き続き電力供給の主軸にしていくのか、あるいはこのような事故を二度と起こさないために撤退していくのか、そもそも生活や産業を支えるエネルギーや電力をどう安定供給するのか、国民が肝を据えて議論しなければならないと思っています。
 ところで、こういった議論を進める上で必ず押さえておかなければならないひとつの問題が、このところ抜け落ちてしまっているように思えてなりません。それが、この本のテーマである原発事故時の防災対策、すなわち原発で重大な事故が起こってしまった際にどのようにして命を守るか、という問題です。(「はじめに」から)

商品情報

発売日
サイズ・ページ数 A5判 210頁
ISBN 978-4-87154-228-9

目次

第1部 原発事故―その時、命を守るために必要な知識      
 第1章 日本と世界の原発で、どんな重大事故が起こってきたか —福島第一、チェルノブイリ、スリーマイル島
 第2章 原発事故と放射性物質の基本を知ろう
 第3章 放射線をどれくらい浴びると影響が出てくるのか
 第4章 福島第一原発事故後に福島県でどんなことが起こったのか
  
第2部 原発で重大事故が起こった!―できる限りリスクを小さくするために、どう判断・行動するか
 第5章 日本の原子力防災対策は事故時に役に立つのか ―石川での30年にわたる防災計画・訓練の調査で分かったこと
 第6章 原子力防災対策と感染症対策は両立できるのか
 第7章 命を守るためにどう判断・行動すればいいか

推薦

一ノ瀬 正樹さん(東京大学名誉教授・武蔵野大学教授)
災害や事故や疫病の発生は不可避である。その際の最優先目標は「いのちを守る」ことである。しかし、発生した害悪を回避さえすれば目標達成になるかというと、そう単純ではない。そうした回避行動によって新たな害悪が生じることがあるからである。原子力災害も同様である。放射線被曝も一つのリスクだが、それを避けると、避難行動の過酷さによる別の害悪が発生しうる。量的思考のもと、多面的に見ることで「いのちを守る」が達成される。本書の誠実かつ正確無比なメッセージは多くの人々の「いのちを守る」ことに結びつくだろう。推薦します。

著者略歴

児玉 一八(こだま かずや)
1960年福井県武生市生まれ。1978年福井県立武生高等学校理数科卒業。1980年金沢大学理学部化学科在学中に第1種放射線取扱主任者免状を取得。1984年金沢大学大学院理学研究科修士課程修了、1988年金沢大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士、理学修士。専攻は生物化学、分子生物学。現在、核・エネルギー問題情報センター理事、原発問題住民運動全国連絡センター代表委員。
著書:単著に『活断層上の欠陥原子炉 志賀原発』(東洋書店)、『身近にあふれる「放射線」が3時間でわかる本』(明日香出版社)、共著に『放射線被曝の理科・社会』(かもがわ出版)、『しあわせになるための「福島差別」論』(同)、『福島第一原発事故10年の再検証』(あけび書房)、『福島の甲状腺検査と過剰診断』(同)、『科学リテラシーを磨くための7つの話』(同)、『気候変動対策と原発・再エネ』(同)、『福島事故後の原発の論点』(本の泉社)など。
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