これからの天皇制と道徳教育を考える

著者・編者岩本 努、丸山 重威/著

― 過去の歴史を直視し、日本国憲法を根っこに据えて

安倍政権下で教育勅語容認が公然と喧伝され、道徳教育復活が足早に進んでいる。教育勅語はどれほどの犠牲を国民にもたらしたのか。そして、今進められようとしている道徳教育がいかにドンデモないものなのか。明治憲法下での悲惨な過去を直視し、そして今日の諸問題を明示する。
また、象徴天皇とは何か、天皇制はどうあるべきかなど、これからの天皇制の在り方を、日本国憲法を根っこに据えて考え合うための諸問題を分かりやすく整理する。
「Ⅰ部 これからの天皇制を考える」「Ⅱ部 戦前の天皇制教育から今日の道徳教育への道」の2部構成。
堀尾輝久(元日本教育学会会長)、石山久男(元歴史教育者協議会委員長)推薦

商品情報

発売日
サイズ・ページ数 四六判/216頁
ISBN 978-4-87154-163-3

目次

はじめに

Ⅰ部 これからの天皇制を考える  丸山重威
1章 いま、何が問題なのか

クローズアップされた「大嘗祭」
「代替わり」は明仁天皇の発言から始まった
問題を矮小化、一代限りの特例法に
天皇制をめぐる2つの潮流、憲法の矛盾とその克服
「安倍改憲論」と「代替わり」
「代替わり」は「時代の区切り」になるのか
「代替わり」で狙われていること
歴史における「元号」の意味
「代替わり儀式」と「大嘗祭」

2章 天皇発言を読み解く

「天皇発言」の何がどう問題なのか
「戦後」は「平和と繁栄」か
「象徴天皇制」の未来と国民
「慰霊の旅」に欠けているもの
「新しい時代」とは何か
「象徴のあり方を考える」とは?

3章 新時代の天皇制と天皇制をめぐる憲法論議

「危機」に立った天皇制
憲法と「天皇制」の矛盾
皇室典範は憲法違反!
「自由」を奪われた天皇、皇族
天皇の「おことば」の意味
私的行為と国事行為
明仁天皇の「象徴としての行為」
女性天皇の検討と中断
世界に広がる「男女同権」の波
この際、皇室典範改正を
「政治的発言」って何だ?
闘った君主たち
これからの「天皇家」もしくは「天皇制」
天皇家の存続をどうするか

Ⅱ部 戦前の天皇制教育から今日の道徳教育への道  岩本 努
戦後教育による近現代史認識―本編まえがきにかえて

「天皇のあかご」?
天皇制教育の柱の無理解
7割以上が「鬼畜米英」の意味がわからない

1章 教育勅語を普及させた「修身」と儀式

「修身」が学科のトップに
教育勅語はどのように制定されたか
教育勅語には何が書かれているのか
教育勅語の普及のさせ方
「起立、礼、着席」の起源と普及

2章 教育勅語体制はどんな犠牲を国民に強いたか

三陸大津波と最初の殉職者・栃内泰吉
関東大震災と御真影
大洪水と御真影
不可抗力の事件

3章 修身教育の行きつくところ

川井訓導事件
川井訓導のその後
川井訓導が使わなかった教科書には何が書かれていたか

4章 敗戦と教育改革

修身・日本歴史・地理授業停止と教科書回収指令
御真影の回収
奉安殿の撤去
教育勅語の廃止
国民の祝日の制定と紀元節
戦後も繰り返される教育勅語擁護発言
道徳教育復活と道徳教科書の出現
道徳の教科化を一気にすすめる安倍政権


あとがき

著者略歴

岩本 努(いわもと つとむ)

歴史教育者協議会会員、日本教育史研究会会員。
1942年、静岡県周智郡気多村(現・浜松市)生まれ。早稲田大学大学院教育学専攻博士課程修了。
法政大学、立正大学、中央大学、都留文科大学の兼任講師を歴任。
著書に、『「御真影」に殉じた教師たち』(大月書店)、『教育勅語の研究』(民衆社)、『13 歳からの教育勅語』(かもがわ出版)、共著に『日本の子どもたち―近現代を生きる 第3・5巻』(日本図書センター)、『あたらしい歴史教育 第3巻』(大月書店)、『教育の「靖国」』(樹花舎)、『これならわかる天皇の歴史Q&A』(大月書店)など。

丸山 重威(まるやま しげたけ)

ジャーナリスト、ジャーナリズム研究家。日本ジャーナリスト会議運営委員、日本民主法律家協会理事。
1941年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学卒。
共同通信社に入社し社会部を中心に取材活動。2003年から関東学院大学同法科大学院教授、中央大学兼任講師として「マスコミュニケーション論」「ジャーナリズム論」「法とマスコミュニケーション」などを担当。
著書に、『新聞は憲法を捨てていいのか』(新日本出版社)、『安倍改憲クーデターとメディア支配』(あけび書房)、『住宅の真下に巨大トンネルはいらない!』(同前)など。編著書に『これでいいのか福島原発事故報道』(同前)、『これでいいのか! 日本のメディア』(同前)など。

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