翻弄されるいのちと文学  震災の後、コロナの渦中「戦争」前に

著者・編者新船海三郎

 本書は、3・11東日本大震災と福島原発事故後を、新型コロナパンデミックに撹拌される差別意識を、「新しい戦前」のきな臭さを、文学作品に読み、それでいいのか、と問い返す文芸評論集です。
 著者はそれを、たとえば、西条八十が「馬のションベン渡し船だからなぁ」と言って軍歌を作り続けたような、「しかたがない、しかたがない」と流され、流れる……、と指摘します。
 翻弄されるいのちと文学の、「ろうそく一本の抵抗」(水上勉)をこころみて生きていきたいという願いがこめられています。

商品情報

発売日
サイズ・ページ数 46判並製 320頁
ISBN 978-4-87154-242-5 C0095

目次

Ⅰ 三・一一と原発事故後の文学
 三・一一から、三・一一へ
 核エネルギー認識と三・一一後の文学
 個をつなぎ、連帯を求めて
 「私」から「私」を越えて
 ろうそく一本の抵抗―水上勉と若狭原発
 三・一一後に読む『こつなぎ物語』

Ⅱ パンデミックが撹拌する差別意識
 「朝鮮」と呼べたとき
  ―小説『大阪環状線』の「在日韓国・朝鮮人」をめぐって
 痼疾としての差別意識
 パンデミックとシェイクスピア、あるいは石井四郎軍医中将
 〝馬のションベン〟と軍歌までの距離
 文学が障害者の「障壁」になるとき

Ⅲ「新しい戦前」に「戦争」を読む
 夏に読む大岡昇平
 日中戦争と五味川純平
 戦争加害をえがくということ
  ―洲之内徹とその小説の評価をめぐって
 早乙女勝元と東京大空襲
 大江健三郎と天皇(制)、また「戦後民主主義」
  ―「セヴンティーン」から「晩年様式集」まで
 「平和」と「勝利」と「民主」という思想  ―大江健三郎の二つのノートから
 ドイツの「沈黙」、ニッポンの「沈黙」

 あとがき
価格 ¥2,200
(本体価格:¥2000)
【送料無料】
在庫状況:在庫あり。

翻弄されるいのちと文学  震災の後、コロナの渦中「戦争」前に ※入荷次第発送します。