人権としての医療・福祉と協同組織

著者・編者鍋谷州春/著

-いのち・くらし・協同
JA、生協、労協、民医連など、医療・福祉の協同組織を網羅し、十数年にわたる定量的全国調査と質的調査に基づいて、その意義と課題を生き生きと描く。2012年国際協同組合年にふさわしい第一線研究者の画期的労作。「施し」や「商品」でない「人権としての医療・福祉協同」を直言する。補章として「東日本大震災復旧・復興と協同の課題」も加筆。 
筆者は、医療協同組織で長年活動し、現在、日本福祉大学教授

商品情報

発売日
サイズ・ページ数 A5判/288頁
ISBN 978-4-87154-107-7

目次

はじめに

序 章 協同とは人権とは
 Ⅰ 本書を読む2つのカギ
Ⅱ 本書が用いる用語の定義と先行研究
Ⅲ 協同組織の定義の根拠と先行研究
Ⅳ ICA原則と権利としての社会保障実現の複眼的視点
Ⅴ 本書の研究上の4つの特徴


第1章 人権と協同組織の歴史性
 第1節 埋もれた歴史の論点に近未来の鍵
第2節 戦前の協同組織の医療・社会事業
第3節 新憲法の下での人権、医療・福祉と協同組織
第4節 歴史研究のまとめ

第2章 協同組織が開設する医療・福祉事業全国調査
 第1節 協同組織全体の調査傾向
第2節 JAグループが開設する医療・福祉事業の全国調査
第3節 生協が開設する医療・福祉事業の全国調査
第4節 民医連の医療・福祉事業の全国調査
第5節 労働者協同組合が開設する「地域福祉事業所」
第6節 漁業協同組合が開設する医療・介護事業
第7節 協同組織関与の社会福祉法人の設立と福祉複合形成の検証
第8節 その他共済などによる福祉事業

第3章 介護福祉労働の変容と医療荒廃下での健康と生命
 第1節 介護保険制度施行による介護福祉の準市場化と国の統制
第2節 契約制による福祉労働細分化と現場労働の葛藤
第3節 医療荒廃を招いた自治体病院・公的病院の縮小策
第4節 国保無保険状態での死亡事例調査

第4章 医療・福祉の連携と統合の連続性
 第1節 医療・福祉の連携とカンファレンスの工夫
第2節 現場における多職種連携実践とIPE
第3節 十勝勤医協・老健施設で地域連携10年間の実践
第4節 連携と統合についての理論的・実践的整理

第5章 公的制度と相談機能、多様な生活ケアの複合
 第1節 相談と生活ケアの福祉複合―コープあいち
第2節 JAあいち知多の世界健康半島・食・福祉複合
第3節 岩手県厚生連と10JA単協の保健福祉複合
第4節 すずらんの亮太くんとの協同労働と福祉複合
第5節 福岡県高齢協の10年と中長期計画


第6章 協同組織による地域づくり活動調査
 第1節 庄内まちづくり協同組合の雇用創出と参加
第2節 コープさっぽろと札幌市が協定締結
第3節 漁協が市あんしん見守りネットワークに参加
第4節 夕張市の労協地域福祉事業所と地域再生
第5節 愛知県の医療生協・民医連の地域づくり
第6節 任意組織「絆21」の取り組み
第7節 保険医協会


第7章 協同組織の人的結合と事業展開の検証
 第1節 「農民とともに」つらぬく佐久総合病院
第2節 友の会参加と複合体で新生の北海道勤医協
第3節 北海道厚生連中小病院の苦闘と矛盾
第4節 愛知県厚生連の「参加と協同」経営挑戦

第8章 協同組織での専門職の固有の役割と協同
 第1節 川崎協同病院事件が投げかけた課題
第2節 函館稜北病院の住民・専門職合同倫理委員会
第3節 専門職の独自的役割と協同に関する議論

第9章 人権としての医療・福祉と協同組織の課題
 第1節 医療・福祉事業への協同組織の参加実態
第2節 人権としての医療・福祉と公共性
第3節 ICAの7原則による協同組織の特徴と課題


補 章 東日本大震災復旧・復興と協同の課題
 第1節 復旧・復興への2つのアプローチ
第2節 被災者や地域が復興の主人公であるべき理由
第3節 語りつぐべき伊勢湾台風の惨禍
第4節 阪神大震災被災地から東北へのエール
第5節 補章のまとめ


おわりに
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