宗教と非暴力平和構築

著者・編者北島義信


出版社からのお知らせ

ウクライナ、パレスチナ・ガザ、ミャンマー……戦争が終わらない。

 商売の取引に使ったり、引越しをすすめて一大リゾート地にする計画をちらつかせる。アメリカ・トランプがそうなら、プーチン、習近平はミャンマーのクーデター軍政権を支援してやまない。

 どこを探しても、平和はない。倫理も法も、正義もない。

 まったく絶望である。

 しかし、と私に働きかけてくる声がある。

 〝それでいいのか?〟

 宗教ではこれを、〈霊性のはたらき〉という。待っていて与えられるものではなく、求めて獲得し、ことに立ち向かう力としてのそれ。「内心からの自主性を持った精神的推進力」である。

 インド独立をすすめたガンジーも、アメリカ黒人の解放を訴え続けたアーサーキングも、アパルトヘイトに抗したネルソン・マンデラも、近くは突発的な厳戒令の発動にペンライトを光らせて立ちはだかった韓国民衆も、やむにやまれぬ心の動きを非暴力・不服従に託して行動した。

 懐疑は批判の前提、批判は確信の通路(アラゴン)であるなら、〝これでいいのか〟のひと言は彼らを素晴らしい未来へと導いたと言えないか。宗教はもはや祈りの代名詞ではない。「戦争の時代」における徹底した抵抗と平和構築の思想と論理――他者優先、相互、共生、和解――である。

 宗教がどこまで可能なのかを問う類を見ない一書。

商品情報

発売日
サイズ・ページ数 四六判並製 280ページ

目次

第一章 東アジアから見た日本の課題
 一 東アジアにおける平和構築への道
 二 韓国から学ぶ日本近代のすがた
 三 崔済愚の東学思想と現代

第二章 日本における平和構築と仏教
 一 靖国問題と仏教徒の平和構築運動―仏教徒の主体化を中心に
 二 宗教と行動決断の構造―親鸞浄土教を中心に
 三 仏教における尊厳概念
 四 親鸞聖人における聖徳太子像と現生正定聚論
 五 浄土教と平和構築

第三章 東アジアにおける平和と宗教的実践 159 
 一 韓国の群山・東国寺から非暴力平和の近代を考える
 二 映画『鬼郷』と平和構築における霊性のはたらき
三 欧米的近代を超える平和的近代への道
   ―親鸞の『顕浄土真実教行証文類』「化身土文類」を中心に  
四 水俣病運動における平和共生思想とその実践
五 「アジア宗教平和学会」の設立に―「エキュメニアン」書面インタビュー

著者略歴

北島義信(キタジマギシン)

1944年三重県四日市市の浄土真宗本願寺派円勝寺に生まれる。大阪外国語大学インド語学科卒業。その後、大阪市立大学文学部哲学科に学士入学、同大学院哲学専攻修士課程修了。
四日市大学名誉教授、真宗高田派正泉寺前住職、正泉寺国際宗教文化研究所所長、三重県宗教者平和協議会会長、アジア宗教平和学会会長。アフリカ文学/宗教社会論。
著書に『平和構築の原動力としての宗教』『宗教と社会変革』『坊主の品格』、訳書に『川をはさみて』(グギ・ワ・ジオンゴ著)、『南アフリカの指導者、宗教と平和を語る』(チャールズ・ヴィラ・ヴィッセンシオ著、監訳)など。
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