自衛官と家族の心をまもる 海外派遣によるトラウマ

1,760

海外派遣自衛官と家族の健康を考える会 編
ISBN 978-4-87154-195-4
C3031
46判226頁
本体価格1600円

2021年9月発行

「自衛官と家族の心をまもる」チラシ

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説明

 戦争がもたらす影響について国民的理解があるとは言えないまま、自衛隊海外派遣は回を重ね、すでに深刻な影響が出ています。イラク帰還自衛官の高い自殺率、南スーダンPKOでも帰還後すぐに自殺の報道がありました。

…… 私たち「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」は、トラウマやPTSDの理解を広め、何より高い自殺率を食い止めたいと願っています。

…… 本書が、戦争トラウマとどう向き合うべきかを考えるための一助となれば幸いです。

もくじ

はじめに

 序 章 当会設立経緯と目的

       高遠 菜穂子

第Ⅰ部 見過ごされてきた戦争トラウマ

 第1章 アジア・太平洋戦争と戦争神経症

       細渕 富夫

 第2章 戦争が日本兵と家族にもたらした心の傷

  中村 江里

第3章 沖縄戦によるPTSD  

       蟻塚 亮二

第4章 引き継がれる傷跡― 精神科が聞いた語り

     五十嵐 善雄

 第5章 戦争トラウマ― 高齢者臨床の現場から

     田村 修

第Ⅱ部 現代の紛争と自衛官のトラウマ

第6章 もう一つの戦争トラウマ― 外傷性脳損傷(TBI)

第7章 イラク・南スーダンの事例から考える自衛隊のメンタルヘルス

布施 祐仁

第8章 海外派遣を求められる自衛隊員と家族を思う

佐々木あずさ

第Ⅲ部 戦争が私たちにもたらす長期的影響

第9章 巻き込まれる家族― イラク派遣以降から見えてくること

福浦 厚子

10章 AI戦争兵器でコンバット・ストレスはなくなるか?                    

       野田 哲朗

参考文献・映像作品一覧

戦争とトラウマ/コンバット・ストレスについて理解を深めるために

高遠 菜穂子(たかとお なほこ)

イラクエイドワーカー。北海道千歳市出身。2000年から海外ボランティアに専念。2003年のイラク戦争を機に活動の場をイラクに移す。人道支援活動中に人質事件に巻き込まれ、PTSD

症状に苦しんだ。戦争トラウマに苦しむイラク帰還米兵との交流も続けている。海外派遣自衛官と家族の健康を考える会共同代表。

細渕 富夫(ほそぶち とみお)

長野大学、埼玉大学を経て、川口短期大学教授。専門は障害者心理学、精神医療史。国府台陸軍病院の病床日誌を研究。著書に『日本帝国陸軍と精神障害兵士』(不二出版、2006年)、編著に『資料集成 戦争と障害者』全7冊(不二出版、2007年)、『資料集成 精神障害兵士「病床日誌」』全3冊(六花出版、2016年)。海外派遣自衛官と家族の健康を考える会共同代表。

中村 江里(なかむら えり)

歴史学者(日本近現代史) 。広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。1982年生まれ。博士(社会学/一橋大学)。日中戦争以降の日本を事例に、トラウマと医療・社会について研究している。主著に『戦争とトラウマ ―不可視化された日本兵の戦争神経症』(吉川弘文館、2018 年)、「アジア・太平洋戦争と軍事精神医療―国府台陸軍病院除役退院患者の分析を中心に―」『日本史研究』(691号、2020年3月)

蟻塚 亮二(ありづか りょうじ)        

精神科医。1 9 7 2 年弘前大学医学部卒業。1 9 8 5 年から弘前市・藤代健生病院院長。2004年から沖縄戦PTSDの診療にあたる。日本精神障害者リハビリテーション学会理事。2001年精神保健功労にて青森県知事表彰。2013年4月から福島県相馬市メンタルクリニックなごみ所長。海外派遣自衛官と家族の健康を考える会共同代表。

五十嵐 善雄(いがらしよしお)

精神科医。1983年岩手医科大学卒業。 主に統合失調症のリハビリテーションに従事。いわゆる外国人花嫁の定着支援、外国人の犯罪捜査に参加した縁で、警察とともに被害者支援に関与。精神科診療においてはPTSD治療や戦時中の被災者に遭遇し治療的関与を余儀なくされる。診療所を開設し、薬物を可能な限り少なくし、患者主体の治療を目標にしていた。2019年逝去。  

田村 修(たむら おさむ)

1988年旭川医大医学部卒。卒後は北海道勤労

者医療協会(勤医協)中央病院で 内科研修3年半の後、精神科臨床へ。1998年 県立千葉県精神科医療センターで専門研修 、2001年より勤医協札幌丘珠病院精神科科長、 2008年より現在まで 勤医協中央病院精神科(リエゾン科)科長。

大竹 進(おおたけ すすむ)

整形外科医。1998年大竹整形外科開業。東日

本大震災では青森県保険医協会長として被災地の支援活動を行う。交通事故によるTBI(外傷性脳損傷)の診療も行う。2005年から「自殺予防活動」に取り組み、現在、青森いのちのネットワーク会長。海外派遣自衛官と家族の健康を考える会共同代表。

布施 祐仁(ふせ ゆうじん)

ジャーナリスト。1976年生まれ。平和・安全保障の問題を中心に取材・調査研究を行っている。「災害派遣と『軍隊』の狭間で〜戦う自衛隊の人づくり」(かもがわ出版)など自衛隊に関する著書も数点ある。

佐々木あずさ(ささき あずさ)

スクールカウンセラー。1961年生まれ。大学在学中より、広島、長崎、沖縄、東南アジアを訪問し、アジア太平洋戦争の被害の実相を学んだのち高校教員となる。2013年退職後、北海道十勝にて人権、多様性、環境、歴史などをテーマに学習会を主催。

福浦 厚子(ふくうら あつこ)

文化人類学者。軍隊と社会との関係を自衛隊や配偶者の観点から研究。「コンバット・ストレスの視点から考える軍隊:トランスナショナルな視点とローカルな視点から見た自衛隊」(2012年)。研究発表「自衛隊研究諸相:民軍関係を超えて」関西社会学会大会シンポジウム「戦争と軍事文化の社会学」(2016年)。

野田 哲朗(のだ てつろう)

兵庫教育大学大学院教授・精神科医。一般精神科臨床のほかアルコール・薬物嗜癖障害、PTSDの治療を行い、精神保健、災害精神医学、司法精神医学等を専門とする。長年、大阪府において公衆衛生行政に従事したのち、大阪府立精神医療センター医務局長を経て現在に至る。

執筆者一覧

高遠 菜穂子(イラクエイドワーカー)

細渕 富夫(川口短期大学教授・精神医療史)

中村 江里(広島大学准教授・日本近現代史)

蟻塚 亮二(精神科医)

五十嵐 善雄(精神科医)

田村 修(精神科医)

大竹 進(整形外科医)

布施 祐仁(ジャーナリスト)

佐々木あずさ(スクールカウンセラー)

福浦 厚子(滋賀大学教授・文化人類学)

野田 哲朗(兵庫教育大学教授・精神科医)